- インフルエンザの予防にはどうしたらいいの?
- 子どもがマスクしてくれないんだけど
- 簡単で効果的な予防方法はある?
そんなママのお悩みを解決します。
インフルエンザの予防に緑茶が効果あり?
毎年、世界中で流行する「インフルエンザ」
日本では、毎年気温が低く乾燥する冬の時期になると流行するインフルエンザ。
感染力が非常に強いため広く蔓延し、高熱や関節炎など症状が重くなりやすく、子どもが感染すると異常行動も報告されているので毎年心配するママも多いですよね。
インフルエンザには、A型、B型、C型それぞれのタイプがあり、それに関連するたくさんの種類があるほか、10年から40年の周期で新しい「新型」が出現します。
新型はほとんどの人に抗体がないので、世界的に大流行が起きる可能性があります。
また、毎年専門家がその年に流行する型を予測してワクチンをつくるのですが、たくさんの種類があるため完全に予防するのが難しく、予想と外れてしまうとせっかく予防接種をしたにもかかわらず、予防が難しくなってしまいます。
そのほか、インフルエンザの予防として有効と言われている方法は
これに加えて、今インフルエンザ予防に有効と注目されているのが、「緑茶」です。
緑茶に含まれる成分であるカテキンには、インフルエンザや風邪のウイルスの体内への侵入や増殖を防ぐ働きがあります。
また緑茶に含まれるテアニンには、免疫力を高める働きがあります。
この記事では、緑茶のインフルエンザ予防効果について詳しく見ていきます。
緑茶がインフルエンザ予防に効果的な理由は?
緑茶のインフルエンザ予防効果について、お茶所の静岡にある「静岡県立大学」と、お茶飲料のメーカーである「伊藤園」が興味深い研究を行っています。
静岡県立大の薬学部では、緑茶をインフルエンザ予防に役立てる研究が行われています。
その効果が証明されているのがカテキン。
カテキンは、ポリフェノールの一種で緑茶に豊富に含まれています。
カテキンの効能として、抗菌・抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用などが発表されており、その他にも脂質異常改善・内臓脂肪減少作用、血糖上昇抑制作用、血圧上昇抑制作用、認知機能低下改善作用、抗腫瘍作用がある人間にとってとても有用な夢のような成分であるといえますね。
この中でもインフルエンザの予防に有効なのが抗菌・抗ウイルス作用。
すこし難しい話になりますが、
インフルエンザは、大きく「ウイルスの付着」「細胞への侵入と増殖」「細胞から他の細胞への感染」の3段階で感染が広がります。
インフルエンザのウイルスには、表面に突起がいくつもあって、ヒトの細胞に付着し感染します。
カテキンは、ウイルスのこの突起にくっついて、ヒトの細胞に付着するのを阻止することができるんです。
さらに、細胞に入ったウイルスが増殖するのを阻止し、細胞から放出したり感染を拡大するのをブロックすることも確認されているそうです。
お茶にはカテキン以外にも、テアニン、ビタミンCといった感染に対する免疫力を高める成分も含まれていますので、緑茶の摂取によるインフルエンザ予防効果も十分期待されます。
「緑茶うがい」でインフルエンザ予防
カテキンには、インフルエンザウイルスの突起にくっついてヒトの細胞にくっつくのを阻止する力があると言いました。
それならば、インフルエンザウイルスがヒトの細胞にくっつく前にカテキンでコーティングすればいいのでは?と考えますよね。
インフルエンザウイルスは鼻や口を通って体内に入り感染するのでうがいが有効な予防手段になります。
そこで、静岡県立大の研究チームでは、「緑茶うがいはインフルエンザ予防に効果があるのか」というテーマについて調査しています。
静岡県掛川市の高校生を対象に、2010年12月~2011年2月(308人)、2011年11月~2012年2月(800人)の2回、「緑茶うがいのインフルエンザ予防作用」の臨床試験を行ったそうです。
「緑茶うがいするチーム」と「水道水うがいをするチーム」に分け、11月~翌年2月の90日間、1日3回のうがいを続けてもらったところ、緑茶チームのインフルエンザの発症率は、水道水チームに比べて、1回目は約半分に、2回目は約3割減ったということなんです。
この研究チームはこのほかにも様々な施設を対象にして緑茶うがいの調査をしており、日本臨床薬理学会で論文賞も取るなど成果が認められています。
「緑茶を飲んで」インフルエンザ予防
同チームは緑茶を飲むことでもインフルエンザ予防に効果があるかを調査しています。
静岡県菊川市全小学校9校の小学生を対象にして、インフルエンザの発症とお茶の飲用習慣の関連も調査しました。
2008年11月から2009年2月の4ヵ月間のアンケートをとり、2050人から回収し、解析したところ、お茶を飲む習慣が1週間に6日以上の小学生は、3日未満の小学生と比べて、インフルエンザになる確率が有意に少ない結果になりました。
1日1杯未満の小学生に比べて、1日1~2杯飲む小学生で38%、3~5杯飲む小学生で46%、インフルエンザの発症が減っていたとのことです。
また、この研究チームは、伊藤園との合同研究も行っています。
医療施設の職員を2グループに分け、5カ月間、一方のグループだけに緑茶成分の「カテキン」と「テアニン」の入ったカプセルを飲んでもらいました。テアニンは、緑茶に含まれるアミノ酸の一種で、免疫力を増強させる作用を持っています。
もう片方のグループには、緑茶成分の入っていないカプセルを飲んでもらいました(プラセボ)。
インフルエンザの感染状況に違いがあるか検証した結果、「カテキン」と「テアニン」を摂取し続けたグループは97人中4人(発症率4.1%)が感染したのに対し、接種しなかったグループは99人中13人(発症率13.1%)が感染し、あきらかに違いが表れたということです。
以上の結果より、緑茶成分を摂取することで、インフルエンザを予防することができる可能性があることがわかります。
うがいには細胞に付着するウイルスをブロックする作用はありますが、体内の細胞に侵入されたものに関しては効果が弱くなります。
その点、緑茶を飲むことは、カテキンなどの有効成分が体内に直接吸収されるので、体の中から抵抗力を高めることができるんですね。
緑茶は新型インフルエンザにも効果的
この伊藤園と静岡県立大学の合同研究チームは、緑茶が新型インフルエンザウイルスに対しても効果があるかを確認する研究も行っています。
研究では、「カテキン」の一種であり、緑茶の中に最も多く含まれる「エピガロカテキンガレート(EGCg)」という成分を使用し、培養細胞にて2009年から2010年にかけて大流行した新型インフルエンザウイルス(H1N1型)を用いて感染抑制力があるかどうかを調べました。
その結果、EGCgは、一般に抗インフルエンザ薬で用いられる「アマンタジン」と呼ばれる成分よりも低い濃度で、新型インフルエンザウイルスの感染を抑制することがわかりました。
さらに、緑茶に含まれる「ストリクチニン」と呼ばれるカテキン以外のポリフェノールでも同様の研究を行い、EGCgを上回る感染抑制効果を確認できたそうです。
ストリクチニンはカテキンは効能が異なり、ウイルスが細胞内に侵入しようとする際の侵入を拒む働きがあるそうです。
緑茶はこのような成分が重なり、結果としてウイルスを予防しているんですね。
インフルエンザ予防に効果的な緑茶の種類は?飲み方は?
緑茶を飲んだりうがいに使ったりすることでインフルエンザ予防に効果があることはわかりました。
では、効果的な飲み方や利用方法はあるんでしょうか?
お茶に含まれるカテキンには4種類あります。
- ・エピガロカテキンガレート(EGCg)
- ・エピガロカテキン(EGC)
- ・エピカテキンガレート(ECg)
- ・エピカテキン(EC)
ここで注目したいのが、EGCgとEGCです。
EGCgには、インフルエンザウイルスの突起にくっついて、感染力を弱らせる効果があります。
一方、EGCにはヒトの細胞内にあるマクロファージを活性化させ、免疫力を上げることが分かっています。
マクロファージは、体内に入ってきた細菌を食べて消化するだけでなく、この情報を取り込んで次に入ってきたときにすぐに攻撃できるように備えているんですね。なので、マクロファージを活性化させることで免疫力を高めることになります。
暖かく入れた緑茶では、EGCgの割合が最も多く、EGCg>EGCとなっています。
ところが、水出しでお茶を入れるとこの含有量が変化してEGC>EGCgとなるんです。
水出し緑茶で旨みも免疫力もアップ。美容効果も
水出しにすることでEGCが多く抽出されるので免疫力アップにつながります。
また、お茶に含まれるカテキンやカフェインは、お湯の温度が高いほど溶け出しやすい性質があり、60℃以上で多く溶け出してきます。
カテキンは苦味を感じる成分でもあるので、水出しにすることで苦味や渋みを抑え、カフェインも抑えることができるんです。
また、水出しにすることで旨み成分のテアニンも多く含まれるようになります。このテアニンにも免疫力を高める効果があることが分かっています。
カフェインや渋みを抑えられるので、小さいお子さんにも飲ませやすいですよね。
さらに、高い温度では壊れやすいビタミンCも、水出しにすることで緑茶内におおく含まれるようになります。
ビタミンCは、光をたっぷりと浴びた茶葉に多く含まれるので、高価な玉露や抹茶では光を遮断して育てられるためにビタミンCの含有量は少なくなります。
なので、安価な茎茶や番茶の方がビタミンCを多く取れます。
ビタミンが多く含まれるので美容効果も期待できママも嬉しいですね。
水出し緑茶は、ティーバッグに入れた茶葉を水に入れて1時間ほどおいたら美味しくいただけます。
衛生上、1日で飲みきるようにしましょう。
水出しにした後の茶葉にもまだまだカテキンがたっぷりと含まれていますので、温かいお茶にして飲んでもいいですし、うがいに利用すると無駄がないですよ。
温かいお茶を飲む&うがいでウイルスの感染力を弱める
お茶は、高温で入れることでカテキンがたくさん抽出されます。
暖かく入れたお茶にはEGCgというカテキンが多く溶け出しますが、このカテキンはウイルスの突起にくっついて感染力を弱らせます。
また、ウイルスの体内への侵入や増殖を防ぐ働きがあります。
なので、温かく入れたお茶は飲んだりうがいに用いたりすることで効果を十分に発揮することになります。
緑茶は80℃の温度で入れると最も美味しく入れられます。
水出しで入れたお茶の茶葉を使っても十分に美味しいお茶を入れることができます。
熱すぎるお湯で入れてしまうと渋みが出過ぎたり色が悪くなるので注意が必要です。
紅茶にもインフルエンザ予防効果はある?
緑茶を飲む習慣はないけれど、紅茶は好きというママもいるのではないでしょうか?
緑茶と同じ「チャノキ」の葉から作られる紅茶にもインフルエンザ予防効果があり、しかもより強力なのです。
紅茶好きには嬉しいですね。
インフルエンザウイルスに対して有効な「カテキン」。
紅茶として酸化発酵するとこのカテキン同士が結合して新たなポリフェノール成分「テアフラビン」となります。
この「テアフラビン」もカテキンと同様にインフルエンザウイルスに有効な上、発酵の過程で分子構造が変わることにより、ウイルスの突起にくっつく力がより強くなります。
なので、紅茶は緑茶よりもインフルエンザ感染予防効果が高くなるんです。
ただし、飲み方には注意が必要です。
私は紅茶にミルクを入れたり、ミルクティーにするのが好きなのですが、紅茶に牛乳を入れてしまうと牛乳のタンパク質とカテキンがくっついてしまい、インフルエンザ予防効果が弱くなってしまいます。
なので、インフルエンザ予防として紅茶を飲む場合は、豆乳や牛乳などのタンパク質が豊富なものは入れずに飲むのがおすすめです。
逆に、ビタミンの豊富なレモンや、体を温める生姜を入れて飲むと、体を温め免疫力を高める効果も期待できます。
まとめ
お茶は手軽で安価に手に入るので毎日の習慣としてインフルエンザ予防に取り入れやすいですよね。
出がらしや茶殻にもインフルエンザ予防に有効な成分が含まれているため、出がらしはうがいに使用すると無駄がなく利用できます。
我が家でも毎年緑茶予防を実践しています。
最近猛威をふるっている新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと似ていて突起を持っていて呼吸器から感染することもあり、もしかしたら効果があるかもと淡い期待をしています。
※今のところエビデンスはないので効果の程はわかりません。念のため…
緑茶を飲んだりうがいしたりと毎日の生活に緑茶を取り入れることでインフルエンザ予防をしてみてはいかがでしょうか。
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